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フルートで聴くフランス・ドイツ作品

French & German Flute Works

フルート : 日向萌

ピアノ:加藤直子

Moe Hinata, flute  /  Naoko Kato, piano

2022年7月9日(土) 19時開演

福島市音楽堂 小ホール

 

P. タファネル / 魔弾の射手による幻想曲 (12’)

Paul Taffanel  / Fantaisie sur le Freischütz

H. デュティユー / ソナチネ (9’)

Henri Dutilleux / Sonatine pour flûte et piano

C. ライネッケ / フルートソナタ “ウンディーネ” op.167 (20’)

Carl Reinecke / Flute sonata "Undine" op.167

 

 

 

Program Note

フランス・ボルドー出身のポール・タファネル(Paul Taffanel, 1844-1908)は、パリを中心にフルーティスト、指揮者として活躍したほか、教育にも尽力し、近代フルートのメソッドの確立に大きく貢献しました。自身が1等賞で卒業したパリ音楽院では、没年まで教授を務めました。魔弾の射手による幻想曲は、ドイツロマン派の作曲家ウェーバーの歌劇『魔弾の射手』に基づいています。射撃大会で勝つことを条件に恋人アガーテとの結婚を約束していた狩人のマックスが、射撃の調子を落としているところをライバルのカスパールにつけ込まれ、魔弾を授かります。大会当日、マックスの魔弾は見事にヒットしていきますが、悪魔の思惑で最後の一発はアガーテを捉えます。ところが、アガーテは被っていた白薔薇の花冠に守られ、魔弾はカスパールに命中します。魔弾を使用していたことが知られマックスは追放を命じられますが、森の隠者の計らいにより1年間の猶予の後に結婚が認められることとなり、一同の歓喜とともに幕を閉じます。フルートの特性が最大限に活かされた華麗な一曲にまとめられています。

 

西フランス・アンジェの芸術一家に生まれたアンリ・デュティユー(Henri Dutilleux, 1916-2013)は、パリ音楽院で作曲や対位法、和声、指揮など多岐に渡り学びました。1938年にローマ大賞1等を受賞後、ローマに滞在していましたが、第二次世界大戦をきっかけにフランスに帰国しました。1943年にパリ音楽院の試験曲として作曲されたソナチネは、ドビュッシーやラヴェルの影響が残る作品です。のちに独自の作風を展開していったデュティユー自身は、このソナチネを若年期の駄作としていたようですが、フルートの多様な音の出し方や特徴的なリズムが使われた、フランスのエスプリ溢れる代表的なレパートリーとなっています。

 

 

カール・ライネッケ(Carl Reinecke, 1824-1910)は、ドイツの作曲家、ピアニストです。シューマンやメンデルスゾーン、リストらと交流がありましたが、当時はこれらの作曲家たちの影に隠れあまり広く知られることはありませんでした。1882年に作曲されたフルートソナタ“ウンディーネ”op.167は、彼の残した楽曲の中で最も演奏される機会の多い作品で、ドイツのロマン派作家フリードリヒ・フーケの小説『水妖記(ウンディーネ)』から着想を得ています。水の精ウンディーネと恋に落ちた騎士フルトブラントが、精霊界における禁忌を破ってしまい最終的にウンディーネに殺されるという恋の悲劇が、4楽章を通して描かれています。クラリネットソナタにもアレンジされています。

文 / 日向萌

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